こんにちは。

飯田橋のカウンセリングオフィス、サードプレイスのナカヤマです。

 

先週の日曜日、久しぶりにすごいものを習ってしまいました。

摂食障害のための認知行動療法、CBT-Eです。

CBT-EのEは(当初浅はかにもそう思った)EatingとかのEではなくて、EnhancedのEです。その名の通り、摂食障害にEnhanced:強化した、特化した認知行動療法です。

実は、日本では長らく摂食障害は心理療法では治らない、とも言われていて、摂食障害への対応は主に内科の医師による入院加療や栄養士による栄養指導が柱となっています。医療的なケアの中心は低体重の患者さんで、健康体重まで戻すことで、低体重が引き起こす身体的なリスクを減らすことを目的としています。しかし、体重が戻っても、摂食障害の考え方や行動様式は、その後も続き、苦痛を感じている人は少なくなりません。

医療的なケアの後や極端な低体重ではない人々に対しては、摂食障害の自助グループ活動に一定の効果が報告されています。自助グループでは、自分が感じている苦痛は実は症状に共通のもので、多くの人も同じように悩んでいると知ることや、過食や嘔吐などをしないように互いに励ましあい、支えあうことができるからです。

これまでどうして摂食障害になるのか、その疾病の原因みたいなものがあやふやで、原因があやふやな時には担ぎ出される例のあの考え方、「親の育て方が悪い」「母原病」みたいな考え方も医療業界では根強く、医師や看護師に怒られて自責の念にとらわれる母親たちに対しても、私は心を痛めてもいたのですが、CBT-Eでは、病の原因論とは全く違う切り口で摂食障害に対処するところが、すごいもの、という所以でもあります。

この心理療法では、いわゆる摂食障害の人が、体重や体形にこだわるあまり、それらをコントロールすることに自分の人生の時間の大部分を費やしている、ということを問題の中心に据え、そのこだわりを維持する様々な行動や生活の様式、例えばボディイメージの問題や自分に課した食事のルール、ストレスな出来事やネガティブな感情などをターゲットに据えて、きっかり20回のセッションで取り扱っていきます。

そして、このセラピーを受けた三分の二以上の人に効果があった、というエビデンスも示されています。

私はCBTには熟練しているといっていいものの、摂食障害というテーマに関しては経験の浅いセラピストです。でも研修会では摂食障害の専門家であるコハラ先生(仮名です)とお隣同士の席だったものですから、わからないところをいろいろと教えてもらい、とても楽しく学べました。

例えば、テキストに摂食障害の人のよくみられるルールとして「一緒にいる人より多く食べない」というのが書いてあったりして、なんのこっちゃらと思ってコハラ先生に聞くと、「ああ、それは例えば、たまたまその時一緒に食事している友人や家族なんかと比べて、その人よりも自分の食事の量を少なくするっていう、摂食障害の患者さんにありがちな独自のルールのことなんですよ」って教えてもらい、なるほどそうか、と思ったものでした。

コハラ先生は長らく摂食障害の臨床をされていて、現在は日本におけるCBT-Eの効果研究もされているのですが、研修会では改めてこのセラピーが「よくできてるわぁ」と感心していました。そして隣で私も「本当、よくできてるわぁ」と頷いていたのでした。

早速、このセラピーに協力してくれそうな患者さんもみつかり、サードプレイスで新しい臨床がはじまりそうな予感に、わくわくしています。

 

CBT-E後日談☞【摂食障害のための心理療法】過食をストップさせる勢い

ではまた!

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投稿: 飯田橋 サードプレイス

東京千代田区飯田橋にあるカウンセリングルーム、サードプレイスのブログです。

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